球状トランスについて
不要輻射ノイズおよび伝導ノイズ(雑音端子電圧)が大幅に低減
スイッチングトランスは、ギャップや勘合部だけではなく,コアのエッジからも輻射ノイズが発生します.そのため、箱型につくられたコア(通称:ポットコア)のように内部巻線をコアで覆いかぶさっていても,ノイズは減少するものの、コアのエッジから輻射ノイズが発生してしまいます.
業界各社は、このスイッチングトランスのエッジを極力丸くすれば輻射ノイズが減るという事に気づき、コアの角を丸く改善しているのは、実に最近の事です.
当社が開発した、球状トランスは、左図のように磁束の流れが理想のループになるため、磁束の滞流ができない究極構造となっています.
ノイズ発生の仕組み EEコアと球状コアの比較
輻射ノイズ/漏れ磁束とその影響
上図のように、輻射ノイズが閉ループとなる為、従来トランスより低ノイズ化されています.
■ 国内特許(4008403)取得済
■ 米国特許(7176778)取得済
比較データ:伝導ノイズと輻射ノイズ
従来のトランスと球状トランスを当社製スイッチング電源に実装して評価
球状トランスの輻射ノイズは,従来のトランスよりも小さくなっています.(図3(b))
また、雑音端子電圧レベル(伝導ノイズ)も改善されています.5MHz以下の周波数領域で10dB~20dBのノイズ低減が観測されました.(図4(b))
この結果より,球状トランスを採用する事で,ノイズ対策部品の追加、各回路でのノイズ対策補強を必要とする事無く,ノイズ対策が可能です.
球状トランスを採用するメリット
・漏洩電流を決定するYコンデンサの容量を下げる事が可能
・ノイズ対策に掛かるコストが低減される
伝導ノイズが改善される理由
輻射ノイズは、パターン配線を通して伝導ノイズとなり,雑音端子電圧レベルを変化させます.
最も大きいノイズレベルであり大きな影響を及ぼしているのがトランスです.
コアサイズ
球状トランス用コアの出力容量(Po)
活用用途:漏洩電流軽減に活躍
伝導ノイズすなわち雑音端子電圧ノイズレベルが大幅に抑制できると言うことは,本来そのノイズ対策用として,AC/DC電源などの1次-2次間に挿入されている,Yキャパシタ容量を抑える,もしくは削除できる可能性があります.
⇒1次ー2次間に挿入されるYキャパシタ容量にて、漏洩電流が決定されます.
漏洩電流は、下記計算式で求めれます.
I=V/|Z|=V×2πf・C
V:AC入力電圧
f:商用周波数(50Hz/60Hz)
C:Yキャパシタに使用するコンデンサ容量
たとえば,雑音端子電圧を極力小さくしたいためにYキャパシタ4700pF1個だけ使用
してもAC220Vの欧州圏では,
I=V×2πf・C
=220×2×3.14×50×4700×10-12
=0.325(mA)
となり、欧米の各国規格値(0.5mA)に対し,余裕がほとんどなくなります.