電源の故障解析・不良解析とは

原因特定から再発防止までの進め方

産業機器の電源に不具合が発生したとき、難しいのは壊れた部品を見つけることだけではありません。
その部品に、なぜ過大な電圧・電流・熱などのストレスが加わったのかを特定し、再発防止につながる対策まで検証する必要があります。
本記事では、電源の故障解析(不良解析)の基本的な進め方と、外部へ依頼する際のポイントを解説します。

1.電源の故障解析で最初に確認すること

故障解析では、いきなり電源基板を分解するのではなく、不具合が電源そのものに起因するのか、負荷側や使用条件に起因するのかを切り分けます。
電源単体では正常でも、負荷の突入電流、配線、周囲温度、接地、入力電圧の変動などによって、実機に組み込んだときだけ不具合が発生することがあります。

  • 電源単体に疑似負荷を接続しても症状が再現するか
  • 起動時・定常運転中・停止時のどのタイミングで発生するか
  • 特定のロットや機種に集中しているか、発生までにどの程度の時間を要したか
  • 周囲温度、負荷率、入力電圧、配線など、正常時と異なる条件がないか

2.電源で起こりやすい故障モード

故障部位主な現象代表的な原因
電解コンデンサ容量低下、ESR上昇、液漏れ・膨張温度上昇、リップル電流、経年劣化
MOSFET・IGBT短絡、開放サージ、過電流、熱、ゲート駆動不良
ダイオード短絡、逆回復時の破壊逆耐圧不足、サージ、リンギング
トランス・リアクトル層間短絡、絶縁劣化、磁気飽和温度上昇、過負荷、絶縁設計不足
はんだ・基板クラック、剥離、焼損、マイグレーション熱応力、機械的応力、湿度・汚染
制御IC・フォトカプラ誤動作、特性劣化ノイズ、電圧変動、温度、経年劣化

なお、保護回路の過敏動作や負荷側の突入電流など、部品が壊れていない「誤動作」の場合もあります。
また、壊れた部品が根本原因ではなく、別の異常に巻き込まれた二次故障である可能性にも注意が必要です。

3.故障解析の6ステップ

手順実施内容判断のポイント
1 情報収集発生条件、環境、負荷、入力、発生率、ロットを整理再現条件の仮説を立てる
2 再現確認実機・疑似負荷で症状を確認し、条件を変えて比較再現する条件としない条件を分ける
3 非破壊観察外観、X線、サーモグラフィ、電気特性を確認現品を壊す前に情報を取り切る
4 回路・波形解析良品と不良品の各部波形、保護動作、発熱を比較設計意図と異なる挙動を特定する
5 原因の検証限界試験や条件変更で故障メカニズムを検証複数の結果から仮説の妥当性を確認する
6 対策と再評価回路・部品・基板・熱設計を見直して再試験同じ条件で再発せず、余裕が確保されたか

解析は、非破壊から破壊へ、全体から個別部品へと進めます。
断面観察や半導体の開封などの破壊解析は、非破壊で十分に絞り込んだ後に実施します。
再現が難しい場合も、温度、負荷、入力電圧などの条件を変え、現品解析や波形測定の結果と組み合わせて原因を絞り込みます。

4.故障解析で確認する主な項目

  • スイッチング素子の電圧・電流波形:サージ、リンギング、熱、定格に対する余裕
  • ゲート駆動波形:立ち上がり・立ち下がり、誤オン、駆動不足
  • 出力波形:リップル・ノイズ、負荷急変時の変動、起動・停止時の挙動
  • 保護回路:過電流・過電圧・過熱保護が設計値どおりに動作するか
  • トランス・リアクトル:磁気飽和、温度上昇、絶縁、異音の有無

原因を特定した後は、回路定数や部品定格、スナバ・フィルタ、基板アートワーク、トランス構造、放熱方法などを見直します。
対策品には、故障が発生した条件を再度与え、効果と設計余裕を確認します。

5.不具合を未然に防ぐための評価

設計・試作段階では、製品仕様と用途に応じて、次のような評価を行います。
必要な試験は、電源方式、出力容量、使用環境、適用される法令・規格によって異なります。

分類主な評価項目
電気特性効率、力率、突入電流、リップル・ノイズ、負荷過渡応答、起動・停止波形、保護動作
熱・環境・信頼性温度上昇、高温・低温動作、温度サイクル、高温高湿、連続運転、振動・衝撃
安全・EMC絶縁耐圧、絶縁抵抗、伝導・輻射ノイズ、高調波電流、雷サージ、静電気放電

6.障解析を外部へ依頼するときの選び方

依頼先を選ぶ際は、原因特定が目的なのか、対策後の製品化まで必要なのかを明確にします。
第三者分析機関は材料・部品レベルの詳細分析や客観的な報告書を得意とします。
一方、電源設計会社は、回路方式や磁性部品の挙動を踏まえ、対策設計までつなげやすいことが特徴です。

  • 回路図や設計意図を読み、波形解析と再現試験ができるか
  • 原因特定だけでなく、回路・基板・トランスの改修を提案できるか
  • 他社が設計した製品や、回路図がない案件にも対応できるか
  • 対策後の部品調達、試作、評価、量産まで連携できるか

7.サンシン電気の故障解析・電源ボード評価

サンシン電気では、電源・スイッチングトランスを設計する技術者が解析を担当します。
現象と使用条件のヒアリングから、波形解析、再現試験、対策設計、部品手配、試作・評価、量産まで一貫して対応できます。
他社が設計・製造した既存製品の品質レビューや、不良率低減のご相談も承ります。

【対応例】
効率、力率、突入電流、出力リップル・ノイズ、負荷過渡応答、保護回路、温度上昇などの電源ボード評価/電源回路・基板アートワーク・トランスの改修設計/出力5W~300W程度のスイッチング電源の試作・量産 etc.

8.よくある質問

Q. 電源基板が故障する主な原因は何ですか

電解コンデンサの劣化、スイッチング素子へのサージ・過電流、温度上昇、はんだ接合部のクラックなどが代表例です。ただし、壊れた部品が根本原因とは限らないため、使用条件と回路動作を含めて確認します。

Q. 再現しない不具合でも解析できますか

温度、負荷、入力電圧などの条件を変え、発生条件を絞り込みます。完全に再現できない場合も、現品観察、良品との比較、波形測定など複数の情報から原因を推定します。

Q. 他社が設計した電源でも依頼できますか

他社が設計・製造した電源についてもご相談いただけます。回路図があると効率的ですが、ない場合も現品の状態や必要な調査範囲を確認して進め方をご提案します。

電源の評価・解析でお困りのときはご相談ください

サンシン電気では、AC/DC電源やDC/DCコンバータを対象に、効率・力率、ライン/ロードレギュレーション、突入電流、起動時間、出力保持時間、高調波電流・雑音端子電圧の簡易測定、推定寿命などの評価に対応しています。原因が特定できない不具合の解析、評価工数の不足、設計変更後の妥当性確認など、課題の段階からご相談いただけます。

不良品と良品、回路図、発生条件、発生率、ロット、使用環境など、分かる範囲の情報をお知らせください。故障解析から対策設計、部品手配、試作・評価、量産まで、品質・性能・コストのバランスを踏まえ、お客様の状況に合った進め方をご提案します。小さな疑問や、依頼内容が固まっていない段階でも、お気軽にお問い合わせください。