DC-DC コンバータとは?(初級編)
1. DC-DCコンバータとは?
DC-DCコンバータとは、直流(DC)電圧を別の直流電圧に変換する電子回路のことを指します。電圧を降圧(バック) したり昇圧(ブースト) したりすることで、さまざまな電子機器に適した電源を供給できます。
2. DC-DCコンバータの種類
DC-DCコンバータには主に以下の種類があります。
(1) 降圧型(バックコンバータ)
入力電圧を出力電圧よりも高くする必要がある場合に使用されます。例えば、12Vの電源から5Vの出力を得る際に利用されます。
(2) 昇圧型(ブーストコンバータ)
入力電圧を出力電圧よりも低くする必要がある場合に使用されます。例えば、3.7Vのリチウムイオン電池から5Vを出力する場合に適用されます。
(3) 昇降圧型(バックブーストコンバータ)
入力電圧が出力電圧より高くても低くても一定の電圧を維持したい場合に使用されます。たとえば、USB PD(Power Delivery)対応機器では、この方式が使われることがあります。

3. DC-DCコンバータの基本構造
DC-DCコンバータの主な構成要素は以下の通りです。
- インダクタ(コイル):エネルギーを一時的に蓄え、電圧変換の役割を果たします。
- スイッチ(MOSFET など):電流のオン・オフを制御し、エネルギーの移動を調整します。
- ダイオード:電流の逆流を防ぐために使われます。
- コンデンサ:リップル電圧を平滑化し、安定した電圧を供給する役割を持ちます。
<降圧型 スイッチングレギュレータ 回路>

<SSDC300>

<TMHIC1000MS SERIES>

<昇圧型 スイッチングレギュレータ 回路>

4. DC-DCコンバータのメリットとデメリット
メリット
- 高効率(リニアレギュレータと比較して電力損失が少ない)
- 入出力の電圧を柔軟に調整可能
- 小型化が可能
デメリット
- スイッチングによるノイズの発生
- 設計が複雑になりやすい
- インダクタやコンデンサの選定が重要
5. DC-DCコンバータの活用例
DC-DCコンバータは、さまざまな用途で利用されています。
- スマートフォン・ノートPC:バッテリー電圧を適切に変換し、効率的に電力を供給
- 自動車(EV・HV):高電圧バッテリーから低電圧の電子機器へ安定した電源供給
- 再生可能エネルギー(太陽光発電・風力発電):発電された電力を利用可能な電圧に変換
6. まとめ
DC-DCコンバータは、電源の電圧を変換する重要な電子回路です。用途に応じた適切な方式を選択することで、効率的な電力供給が可能になります。初心者の方も、基本構造や動作原理を理解することで、電子機器設計や電源回路の理解を深めることができるでしょう。
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